免疫について 6 - 異物を排除するしくみ 胸腺の働き-

②リンパ球の分化・活性化
免疫軍団の白血球は、骨髄でつくられる幹細胞が、それぞれの
経路で分化・活性化し、種々の働きを持つように成熟していきます。
肝臓でも重要な白血球の仲間が分化・活性化しています。
それはTリンパ球とNK細胞です。これらはいずれもリンパ球の
仲間で、からだに送り出されからだ全体で働いています。
NK細胞は、異物の細胞を処理するパトロール軍団で病気の
予防という大切な仕事をしています。
Tリンパ球は免疫軍団の指令管とも言うべき重要な仕事しています。
最近の研究では、肝臓で分化・活性化するTリンパ球は、老化細胞
がん細胞など自己変異細胞の処理および自己免疫疾患に関与している
ことが確認されています。
また、異物侵入初期の異物排除に関与しているという報告もあります。

 

(2)胸腺の働き
胸腺という臓器は、一般にあまり知られていません。
胸の中央部・胸骨の後ろにある臓器で、生まれた時は18gぐらいですが、
その後だんだんと大きくなり思春期には30gぐらいまでになります。
その後次第に委縮しはじめ80才ぐらいでは1/2以下になってしまう
不思議な臓器です。
胸腺の働きは長い間不明でしたが、近年免疫にとって重要な臓器で
あることが解明されました。それは、白血球の仲間であるTリンパ球を
分化・熟成させることです。
Tリンパ球を分化させる臓器は他に、肝臓・腸管などがありますが、
胸腺はTリンパ球を専門に分化・熟成させるのです。
胸腺からのTリンパ球は、外敵(細菌・ウィルス・カビ・・・)を専門に
処理する事です。胸腺はTリンパ球に自己と非自己を厳密に識別することを
教育する臓器で、胸腺大学を卒業したTリンパ球は、免疫軍団のエリート中の
エリートといえます。胸腺の働きが最も重要な期間は生まれてから成人に
なるまでです。生まれた直後は、しばらく母親から受け継いだ免疫力で
身を守ることができますが、その後自力で外敵から身を守らなければ
なりません。
この時期に力を発揮するのが胸腺です。生まれてから成人になるまでの
間からだを守ってくれる胸腺のありがたさを再認識して欲しいです。
しかし、成人になれは敵は外敵ばかりではありません。
からだの中で発生する癌細胞・老化細胞などと戦わなければなりません。
成人になれば胸腺が委縮し、肝臓・腸管で分化されるTリンパ球が主役を
演じてくれるのは、神が与えてくれた人間の免疫のしくみのすばらしさ
でしょう。

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