漢方薬剤師による「ストレス軽減漢方5選」
2021年の春がやってきました。今年は桜の開花は記録的な早さでした。
入学や就職、転勤など、このコロナウイルス感染のまん延とともに、大変なストレスがかかっている人も多いと思われます。
新しい環境や人間関係に慣れるまでには、かなりのストレスがかかります。
不安障害、うつ病や統合失調症などの精神疾患は、このようなストレスが引き金となって悪化するケースや発症するケースが多いです。
ストレスがまだ小さい段階から、不安感、抑うつ感、不眠などの症状に対応しておくようにしたいものです。
今回はそのようなストレスを軽くする効果が期待できる漢方薬を5つお伝えします。
① 四逆散(しぎゃくさん)
【内容】
一般的なストレス緩和に良い漢方薬です。イライラ、精神的なストレスによって消化管などの過緊張や異常な動きに良く効きます。
ストレス対策の漢方のベースとなる処方です。
他の症状がある方には、この四逆散をベースに生薬を足していきます。
【どんな人に?】
気がかりなこと、不愉快なことが気になって気分が晴れないことを、漢方では「肝鬱(かんうつ)」といいます。
一般的に「プチうつ」と呼ばれるような抑うつ症状などに用いられます。
② 香蘇散(こうそさん)
【内容】
弱い発汗作用もあるので、胃腸も弱く、春先によく風邪をひくような方にも使うことができます。
「春の漢方の風邪薬」ともいわれています。
【どんな人に?】
女性の軽症の抗うつ剤としてよく用います。もちろん男性でも大丈夫です。
落ち込む、気分がふさぐ、イライラを通り越して怒る気力もないという方に使われます。
③ 柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
【内容】
この薬には、①四逆散と②香蘇散の成分が含まれています。
①四逆散(柴胡・枳実・芍薬・甘草)には、柴胡と芍薬が含まれ(抗ストレス作用)があります。
また、香附子・青皮・枳実も気の巡りを良くしてくれます。
【どんな人に?】
「疎肝(そかん)」とは、肝臓の気を通すという意味があり、肝気鬱結(かんきうっけつ)を治します。
「肝気鬱結(かんきうっけつ)」とは、ストレスなどによって気が滞り、抑うつが強まり、イライラなど感情の起伏が激しくなることをいいます。
柴胡疎肝湯は、四逆散と比較して、「気のうっ滞」が強く、胸・脇・お腹が痛むという症状に適しています。
「気のうっ滞」とは、元気、気力などが湧いてこず、気持ちがふさぐような状態をいいます。
④ 抑肝散加半夏陳皮(よっかんさんかはんげちんぴ)
【内容】
陳皮と半夏はむかつき、嘔吐を鎮め、腹部の膨満感を除く作用があります。
胃腸症状を緩和します。
【どんな人に?】
ストレスが発散できず神経が高ぶりイライラしやすい方、精神的な緊張状態の強い方におすすめです。
我慢・反省ばかりを教え込まれて育った人、交感神経の緊張が強く、顔色は青白く、血色が悪い人が多いです。
⑤ 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
【内容】
この処方は梅核気(ばいかくき。喉に梅の種が詰まったような感じがする症状)によく効きます。
厚朴が消化管のけいれんを取るといわれています。
また、紫蘇・半夏・茯苓(ぶくりょう)には、抗うつ作用があります。
【どんな人に?】
食道から直腸まで、消化管の色々な部位のけいれんが起こっている方に、適しています。
自分では消化管がけいれんしている自覚症状はありません。喉の違和感のみです。
食事するときは、喉の違和感は解消されます。
もし、食事中も喉に違和感がある場合は、別の病気の可能性があります。消化器内科を受診することをおすすめします。
まとめ
ストレスを緩和させる作用のある漢方はいろいろあります。
同じように見える症状でも、体質によって用いる漢方薬は異なります。それが漢方による体質改善の醍醐味でもあります。
ご紹介した漢方薬は、一部は市販薬もあります。症状のまだ軽い方、ご自身に合うものを選ぶことができた方は、自己診断による市販薬で効果がある場合があります。
症状が重くなり、悩んで来店される多くの方をみてきて、もっと早く来店いただければ、と思ったことが何度もあります。
漢方の専門家に相談して飲む自分だけのオリジナル漢方薬と、自己診断による市販薬と、どちらが早く希望する状態になれるでしょうか。
また、早寝早起きを心がけ、お風呂にゆっくりつかり、睡眠を十分にとってください。基本ですが、とても大切です。
時間があれば朝の15分~30分、朝日を浴びて散歩をすることにより、脳内の指揮者といわれているセロトニン分泌が高まります。
セロトニンを増やして、明るく前向きな毎日を過ごしたいですね。
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