高齢者に安全な漢方療法 -お勧めの漢方5種-

2016103

今年は湿気も多く厳しい残暑でしたが、ようやく朝夕は
過ごしやすい季節になりました。
気温変動が大きいので、風邪を引かないようにお過ごし下さい。

昨年末、日本老年医学会が
「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を発行しました。
高齢者は薬の副作用の症状が発生しやすいので、薬物療法の
安全性を高めるために作成されました。

今回の2015年版より、漢方薬も大きく取り上げられました。
高齢者は複数の病気をかかえるので、多剤併用になりやすく、
平均6種類以上の薬を服用しているという報告があります。

加齢によって生理機能が落ちている時に沢山の薬を併用することに
よって、薬の効き過ぎや副作用の発現、腎機能や肝機能の異常を
起こさないようにする事は重要な事です。
なるべく少ない薬剤の治療を選択する為に、漢方薬が用いられる
ケースが増えています。

高齢者に有効性があるとされる漢方薬5つが掲載されています。

その漢方薬とは、
抑肝散(よっかんさん)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、
大建中湯(だいけんちゅうとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、
麻子仁丸(ましにんがん)です。この漢方薬について、簡単に解説します。

●抑肝散(よっかんさん)・・・もともとは子供の夜泣き・ひきつけの薬。
イライラや不眠症にも用いられていたが、認知症の周辺症状(幻覚・
妄想・イライラ・暴言)などに効くことが分かってきました。

●半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)・・・緊張感・イライラ・不眠・
喉のつかえに利用されていましたが、嚥下障害や咳の反射が低下して
おこる誤嚥性肺炎への使用が推奨されています。

●大建中湯(だいけんちゅうとう)・・・腸管血流の増加や抗炎症作用
なども臨床研究で明らかに。腹部術後早期の腸管蠕動運動の不良、
脳卒中後遺症患者の機能性便秘を有する患者さんへの使用。

●補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・・・胃腸の働きを良くして体力を
回復させる働きがあります。体力低下や倦怠加のある時に。
慢性閉塞性肺疾患などの疾患にも。

●麻子仁丸(ましにんがん)・・・慢性便秘で、高齢者に多いコロコロした
便に用いられます。

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