増え続ける花粉症 -その原因と対策-
2013年、本格的な花粉シーズンが近づいてきました。
今年の花粉飛散量は東日本を中心に昨年のシーズンより多くなるそうです。地域によっては、5倍以上と予想されている所もありますので、注意が必要です。2月中旬から5月中旬ぐらいまで花粉症の方には、とても辛い季節と思います。中国からの黄砂などによって、症状がさらに悪化する方もおられます。
現在、日本人の約30%が花粉症だといわれています。最近は、子供の花粉症も増加していて、5歳から9歳の発症率13.7%、10歳から19歳の発症率31.4%(日本アレルギー協会の年齢層別データ)になっています。
花粉症ってどんな病気?
花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどのアレルギー症状を起こす病気です。花粉症は、原因となる花粉の飛ぶ季節にだけ症状があるので「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれています。日本では、スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、シラカバなど約60種類の植物により花粉症を引き起こすと報告されています。
症状としては、鼻の症状(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)だけでなく、目の症状(かゆみ、なみだ、充血など)を伴う場合も多く、その他にのどのかゆみ、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じなどの症状が現れることもあります。
一方、一年中症状の出る場合は「通年性アレルギー性鼻炎」と呼ばれています。アレルゲンが一年中あるので、症状も一年中あります。花粉以外に、ダニ、ハウスダスト、昆虫、ペットの毛・フケなどに対してアレルギーが起こり、喘息やアトピー性皮膚炎などを合併することもあります。
花粉症は、漢方では * 溢飲(いついん)の病といって体の余分な水分が外へあふれ出る病です。もともと水毒体質で体に余分な水分を抱え、冷え性の方が多く、体質改善に使用する漢方薬と寒証型の症状(くしゃみ・鼻水)を改善する漢方薬で対応します。
[* 溢飲(いついん)・・・体液の異常分泌または水分代謝障害]
よく使用されている漢方は、小青龍湯(しょうせいりゅうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)。これらは主に寒証で体が冷えやすく、鼻水もサラサラの方に良く、体を温めて鼻汁を減らす生薬が使用されています。 次に鼻が詰まってくる場合は、葛根湯加辛夷川芎(かっこんとうかしんいせんきゅう)や辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)などの処方を使用します。 また、のどや鼻の粘膜が赤く腫れてくる慢性炎症の場合は、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)なども使用します。
新薬は、眠気や口の渇きなどの副作用があります。眠気などの副作用が強く出やすいため、特に乗り物の運転や機械操作などには注意が必要です。
漢方薬は眠くならないので、ビジネスマンや受験生には大変喜ばれています。
最近、花粉症を抑える色々な抗アレルギー薬が開発されています。
なぜ花粉症は、完治せず増え続けるのか?
スギは、恐竜の生息した時代に登場した起源の古い植物群です。 奈良・吉野地方には昔から沢山のスギがありますが、花粉症患者が特に多い地方でもありません。そう考えると花粉症が増え、治りにくいのは「現代人の体質の変化」としか考えられません。
恩師・山本巖先生は、
「アレルギー(花粉症・アトピー・喘息)の原因は食生活が大きく関係している。」
「50年前から学校の校医をしていたが、昔は、全校にアレルギーの生徒は1人いるか、どうかだった。今は、教室に10人以上のアレルギーの子がいる。これは昭和45年の大阪万国博覧会以降に、日本人の食生活がまったく変わってしまったからだ。ケーキ、ドーナッツ、クッキー、炭酸飲料、スポーツドリンク、ジュース、品種改良された甘い果物、甘いお酒など食生活が大きく変化した。この様な食品は、とても甘く美味しいので、日本人の子供から大人まで毎日のように食べている。一億、甘い物漬け状態だ。この食生活を改善しない限り、どんな良い薬を飲んでもアレルギー(花粉症・アトピー・喘息)は治らない。」と断言されました。
スイーツ(洋菓子・和菓子・果物)の食べ過ぎは、かならず水毒体質になります。
水毒体質を改善する事は、アレルギーを改善する近道
アレルギー体質の方は、美味しいスイーツ、口当たりの良いお酒、ジュースは、要注意。
花粉症の方は、花粉が飛び始める前から極力控えてください。止めると漢方薬の効きも良くなります。
20年ぐらい前と比べて、確かに漢方薬の効きにくい重症タイプの花粉症が増えています。 発症の低年齢化も進んでいます。 妊婦さん、赤ちゃん、幼児期からの食養生は大変重要な事だと思います。
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