瘀血について -駆瘀血剤の解説-
京橋・山本内科で実際に、山本巖先生が常用された処方は以下のとおりである。
- 通導散
- 芎帰調血飲第一加減
- 活血化瘀凍瘡湯 (山本家伝方)
- 桂枝茯苓丸
- 大黄牡丹皮湯
- 桃核承気湯
- 治打撲一方
- 冠心Ⅱ号方
- 桃紅四物湯
この処方を使われて、どのような運用をされたのかを解説したい。
1.打撲 治打撲一方
2.寒が原因 活血化瘀凍瘡湯
3.子宮内膜症 芎帰調血飲第一加減
4.前立腺肥大 大黄牡丹皮湯
5.ファイブローシス 強皮症 Pss
通導散加桃仁牡丹皮
6.冠性心疾患 冠心二号方
以上の処方をベースに加減をされて使用された。
治打撲一方について
川骨・樸樕・丁香・木香・川芎・肉桂・当帰・大黄・芒硝
- 川骨・・・浮腫を引かして鬱血とか内出血取る。
- 樸樕・・・鎮痛剤
- 丁香・木香・川芎・肉桂・当帰・・・活血(頭部以外に)
- 大黄・芒硝・・・利胆の効果
治打撲一方(香川修庵経験法) 川骨、樸樕、川芎、桂枝、丁香、大黄、甘草
川骨:出血を止め、打撲による内出血を吸収し、浮腫を引く(駆瘀血作用)
樸樕:骨や筋肉の疼痛を和らげる(鎮痛作用)
川芎・桂枝・丁香:血行を良くする(活血作用)
大黄:瀉下作用(瘀血の排除を助ける)
打撲・捻挫・骨折などに対して用いる。
桃核承気湯・桂枝茯苓丸などより駆瘀血作用は強い。
通導散加桃仁牡丹皮と同等か? 頭部の打撲には注意?
打撲など急性の瘀血には大黄の使い方が重要である。
爪の下の内出血
山本医院の掃除婦が、玄関のドアで親指をはさんだ。
あっという間に爪の下が紫色に内出血。
治打撲一方(川骨7g、樸樕7g、大黄5g) を処方すると、みるみるうちに内出血は引いて、二時間後には、二つだけポツン、ポツンと紫色の点が残っていた。
*初期に大切な瀉下
打撲などの受傷直後は、どれもみな下す必要がある。
下さなかったら効きが悪い。エキス剤では多量に必要である。
剣道を長年やっておられる方の言葉
「剣道の稽古中、竹刀で腕や肩など打たれたときに 皮膚の打撲後は、赤→青→黄になって消えてゆくのが・・・
この漢方を服用したら、痛みが早くとれ、皮膚の色が 赤から青くなって黄色の期間がほとんどなく、短時間に 腫れと色が消えていきます。
素晴らしい薬ですね。」
との言葉をいただきました。
スポーツをされている方に、駆瘀血剤はとても有効で必要な薬と思います。
凍瘡の病態 (中寒によって起こる局所的 血痺の証)
- 細静脈及び毛細血管の拡張
- 血流の緩除
- 鬱血 → 静脈に血栓
- 血液成分の漏出による血性浮腫
- 組織の循環障害による壊死
活血化瘀凍瘡湯 (山本家伝方)
当帰 桃仁 茯苓
桂枝 温経散寒 紅花 活血化瘀 白朮 利湿
細辛 赤芍
白芥子 牛膝 大棗 三稜
生姜 甘草 我朮
上記の生薬を使用する。
温経散寒法と活血化瘀法を併せて利用して治療を行う。
駆瘀血剤の最重要処方は、通導散である。
通導散 (万病回春)
- 折傷門の方剤
大黄・芒硝・枳実・厚朴・当帰・紅花・甘草
陳皮・木通・蘇木
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