腰痛3パターン 見分け方と対策

腰痛といっても原因は様々です。
ぎっくり腰・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症その違いを解説いたします。
① ぎっくり腰(急性腰痛症)
ぎっくり腰は医学的には「急性腰痛症」と呼ばれ、ある日突然、腰に激痛が走り、動けなくなる状態を言います。
特別な病名ではなく、「いきなり発症する」腰の痛みの総称です。
重い荷物の持ち上げや、不意の動作、咳やくしゃみなど、ごく普通の生活動作をきっかけに発症します。
多くの場合、腰の筋肉や関節、椎間板、靭帯などに一時的な損傷や炎症が起こり、強い痛みとして表れます。
主な症状
- 突然の腰の激痛
- 動けなくなる、腰を曲げ伸ばしできない
- 立てない、歩けないこともある
- 痛み以外のしびれや発熱などは通常ありません
対処方法
急性期(1〜3日)
- 基本は安静。無理に動かず、楽な姿勢で寝る
- 氷や冷却パックで痛む部分をアイシングして炎症を抑える
- 強い痛みには消炎鎮痛薬(湿布や内服薬)
- コルセット(腰部ベルト)も有効
回復期(3日目以降)
- 痛みが引いてきたら、少しずつ動き始めることが大切
- 長期の寝たきりは避け、歩ける範囲で日常生活を再開
- リハビリやストレッチ、温熱療法も回復に役立つことが多い
- 改善しなければ整形外科受診
予防と再発防止
- 正しい姿勢・中腰作業の回避
- 筋力トレーニングや柔軟運動の継続
- 冷えや無理な動作をしない

② 椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、背骨の間の「椎間板(クッション)」の一部が飛び出し、神経を圧迫することで、腰だけでなく足まで痛みやしびれが起こる病気です。
特に腰椎(腰のあたり)で多く見られ、スポーツや重労働、長時間の悪い姿勢などがきっかけになることが多いです。
主な症状
- 腰の痛みとともに、お尻や足にしびれや強い痛みが出やすい
- 長く座っていると辛い、前屈みで悪化しやすい
- 足の筋力が低下する重症例もある
対処方法
保存療法が第一選択
- 安静を保った上で痛みが激しいときは消炎鎮痛剤(内服や外用薬)、座薬も可
- コルセットを使い、腰への負担を減らす
- リハビリテーション(理学療法士指導の運動療法や軽いストレッチ)を継続的に行う
- 症状が落ち着けば、ウォーキングや水泳など腰に負担の少ない運動も推奨
- ブロック注射(硬膜外や神経根など)による痛みのコントロール
手術が必要な場合
- 保存療法で改善しない場合や、下肢の麻痺や排尿障害があるときは外科治療(ヘルニア摘出)が検討される
予防と再発防止
- 普段から正しい姿勢と腰に負担をかけない動作
- 筋力・柔軟性を維持する運動
- 激しいスポーツや急な動作は注意
③ 脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は、背骨の中の神経(脊髄や馬尾神経)が通る「脊柱管」が、加齢や背骨の変形、靭帯の肥厚などで狭くなり、神経が圧迫されて足腰のしびれや痛み、歩行困難になる進行性の疾患です。
主な症状
- お尻や太ももの裏、ふくらはぎ、足のしびれ・痛み・だるさ
- 少し歩くと症状が出て足が止まるが、座ると回復する(間欠性跛行)
- 立ったり背筋を伸ばしたりすると症状悪化
- 前かがみや座位では楽になる
- 重症例は尿や便の障害、足の筋力低下も
対処方法
保存療法(軽症〜中等症)
- 痛み止め(NSAIDsなど)、神経の血流改善薬
- リハビリやトレーニングで筋力維持、柔軟性向上
- コルセット利用や体位工夫(前かがみ姿勢)
- 神経ブロック注射(仙骨部硬膜外など)は有効なことも
手術療法(重症例)
- 保存治療で効果がない場合や、日常生活が困難な場合、膀胱や腸のコントロール障害がある場合
- 「除圧術(神経の通り道を広げる手術)」が選択される
予防策
- 股関節や腰周囲を柔らかく保つ運動
- 姿勢や生活習慣の改善

まとめ
- ぎっくり腰は、急な動作や負荷で発症し、安静・冷却・徐々に運動がポイント。
- 椎間板ヘルニアは、腰椎のクッションの損傷で神経圧迫を伴い、薬や運動療法が基本だが、重症例は手術。
- 脊柱管狭窄症は、加齢などで脊柱管がせまくなり神経が圧迫される慢性疾患で、保存療法が中心、歩行障害や排泄障害があれば手術も考慮。
腰の疾患は原因・病態が異なり対処法も違います。
症状が強い・長引く場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
このほか、夏の疲れと内臓や体の冷えからも痛みが出る場合があります。
これを「臓腑の中寒」と「経絡の中寒」といい、漢方では治療を行います。
「臓腑の中寒」では、苓姜朮甘湯を使用して下半身の腫れやむくみを取りながら対処します。
また、体の表面の冷えによる痛みには「経絡の中寒」によく効く、当帰四逆加呉茱萸生姜湯や五積散などを使用して改善します。
腰痛といっても、様々な原因があります。漢方医、漢方薬剤師等に相談し、服用するようにしてください。

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