筋肉は、これからの自分を支える貯金です

残暑が続き、夏の疲れが出やすい頃となりました。
暑さで外出や運動の機会が減り、「以前より疲れやすい」「階段が少しつらい」「足腰に力が入りにくい」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
年齢を重ねると、筋肉や体力が少しずつ衰えるのは自然な変化です。
しかし、それを「年だから仕方がない」とあきらめる必要はありません。
筋肉は何歳からでも、適切に使い、栄養を与えることで保ち、育てていくことができます。
近年、米国の医師ガブリエル・ライオン氏は、「筋肉は長寿のための大切な臓器である」と発信しています。
筋肉は、手足を動かすだけのものではありません。
血糖の調整、脂肪の代謝、骨の健康、転倒予防、疲労からの回復など、全身の健康と深く関わっています。
筋肉が減ると何が起こる?

筋肉が減ると、力が弱くなるだけではありません。
- 疲れやすくなる
- 姿勢が崩れやすくなる
- 階段や坂道が負担になる
- 転びやすくなる
- 血糖値や体重のコントロールが難しくなる
- 病気やけがの回復に時間がかかる
- 外出がおっくうになり、活動量が減る
このように、筋力の低下は「動かない」ことにつながり、さらに筋肉が落ちるという悪循環を招くことがあります。
特に下半身の筋肉は大切です。
太ももやお尻の筋肉は、立つ、歩く、座る、階段を上るといった毎日の動作を支えています。
将来も自分の足で歩き、好きな場所へ出かけ、日常生活を自分らしく送るためには、足腰の筋肉を守ることが重要です。
筋肉は刺激で変わる

筋肉は、使わなければ少しずつ減っていきます。しかし逆に言えば、使えば応えてくれます。
たとえば、椅子から立ち上がる動作、少し速めの歩行、階段を使うこと、軽いスクワット、かかと上げなども、立派な筋肉への刺激になります。
高齢の方でも、無理のない範囲で筋力トレーニングを続けることで、筋力や歩く力が改善することが研究で示されています。
大切なのは、最初から頑張りすぎないことです。
激しい運動を一度だけ行うよりも、「今日も少し動けた」という習慣を重ねるほうが、体には大きな力になります。
今日からできる「足腰の習慣」
- 椅子から立って座る運動
安定した椅子に座り、手をできるだけ使わずにゆっくり立ち、ゆっくり座ります。まずは5回から始め、慣れたら10回を目安にしましょう。 - かかと上げ
台所や洗面所でつかまれる場所を確保し、かかとをゆっくり上げ下げします。ふくらはぎは血流を助ける大切な筋肉です。 - 座りっぱなしを減らす
テレビを見ている間や読書中も、30分〜1時間ごとに一度立ち上がりましょう。部屋の中を少し歩くだけでも構いません。 - 歩く時間を少し増やす
買い物のときに遠回りをする、エレベーターではなく階段を一階分だけ使うなど、「生活の中の運動」を増やしてみましょう。
膝や腰に痛みがある方、心臓や血圧の治療中の方は、無理をせず、医師や専門家に相談して行ってください。
筋肉の材料は、毎日の食事

筋肉を保つには、運動だけでなく、材料となるたんぱく質が必要です。
たんぱく質が不足すると、せっかく体を動かしても筋肉を十分に作り直しにくくなります。
たんぱく質は、肉、魚、卵、牛乳・ヨーグルト、チーズ、大豆製品などに含まれています。
朝食がパンとコーヒーだけ、おにぎりだけ、といった内容になりがちな方は、卵、納豆、豆腐、ヨーグルト、チーズ、牛乳などを一品加えてみましょう。
取り入れやすい例
- 朝:ごはん+納豆+卵、またはパン+ヨーグルト+チーズ
- 昼:魚や鶏肉の定食、豆腐や卵を加えたうどん
- 夜:肉・魚・大豆製品のいずれかを主菜にする
- 間食:無糖ヨーグルト、豆乳、チーズ、ゆで卵など
ただし、腎臓病などでたんぱく質の量を指導されている方は、自己判断で増やさず、主治医や管理栄養士にご相談ください。
漢方の考え方から

漢方では、年齢とともに足腰が弱る、疲れやすい、冷えやすい、夜間頻尿がある、物忘れが気になる、といった状態を「腎」の働きの低下として捉えることがあります。
また、筋肉や手足の働きには「脾」や「気血」の状態も関わると考えます。
ただし、漢方薬だけで筋肉が作られるわけではありません。
漢方薬は、食欲、胃腸の働き、睡眠、冷え、疲労、痛みなどを整え、体を動かし、栄養を生かせる土台を支える役割として考えるのが大切です。
筋肉は、将来の自分のための貯金です。
今日の一回の立ち上がり、今日の一皿のたんぱく質、今日の少しの歩みが、数年後の「自分の足で歩ける毎日」につながります。
無理なく、誰かと比べず、自分自身が続けられることから始めていきませんか?

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