漢方薬の驚異 第64回 肝気鬱結(かんきうっけつ)とは

いよいよ明日からは6月です!
今年はすでに梅雨を迎えているということもあり、
湿気で身体まで重たく感じる今日この頃ですね。

今年は噴火、地震、津波、台風などの自然災害が日本列島を
襲っています。
6月からは、穏やかな気候である事を祈ります。

今回は、和解剤に使用される漢方の用語で
肝気鬱結(かんきうっけつ)についてお話します。

肝気鬱結というのは、精神的なストレスがかかって自律神経の緊張が
起きた状態。
心的な葛藤があり、イライラ・情緒不安定・自律神経失調症が
出てきて、不安感が増してきます。

どんな方がなりやすいかというと、

1.几帳面・細かい事が気になる。

2.周りの環境因子のストレスが、その人の許容範囲をすぐにオーバーする。

3.依存症・幼児性のある人。

几帳面でマジメ、凝り性の性格の人は、うつ反応を起こし易くなります。
また、精神的ストレスに対応できない人は、ヒステリー反応を起こし
病気へ逃げ込むケースもあります。

肝気鬱結(かんきうっけつ)を現代医学的に解釈すると
中枢・自律神経系全般を通じた緊張状態と考えられています。

漢方では肝を、「疏泄を主る」とされています。

精神・情緒を伸びやかに保ち、全身の機能を円滑に推進するものと
考えられていて、肝気鬱結(かんきうっけつ)が起こると、疏泄が停滞して
精神的な緊張・抑うつ、自律神経の緊張・失調へつながるとされています。柴朴湯(さいぼくとう) と柴れい湯(さいれいとう)

4月は寒暖の差と湿度も高めで、体調の悪い方が多かったです。

この天気変動は、花粉症や喘息の方々にとても辛い事だったと
思います。

5月は、良い天気が続くと良いですね。

今回も、引き続き和解剤についてお話します。

柴朴湯(さいぼくとう)と柴れい湯(さいれいとう) の構成生薬は、
小柴胡湯がベース処方です。

柴胡(さいこ)、黄ごん(おうごん)、半夏(はんげ)、
生姜、大棗(たいそう)、人参、、甘草(かんぞう)

柴朴湯・・・・小柴胡湯合半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

小柴胡湯に「厚朴、紫蘇、茯りょう」
の3種の生薬が加味されています。

疎肝解うつの効能が強められていて、止嘔や利水の作用もあり
下痢や浮腫を改善する効果もあります。

一方、五れい散を合方している柴れい湯は、

小柴胡湯に「白じゅつ、茯りょう、猪れい、沢しゃ、」

利水の効能が強まるため浮腫、水様性下痢などの水滞を
呈している場合に利用されます。
補気の作用も強まり、脾気虚にも適しています。

注意点はこの2処方剤は、小柴胡湯よりも乾燥傾向が強くなるため
注意が必要です。

痰、湿、水腫の水滞のないケースに長期投与は、控えるべきと
考えます。

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